以下の文章は「ゆゆ式 Advent Calendar 2023」16日目の記事に該当します。
adventar.org
安定の一年ぶり稼働となります、紅茶と申します。
2018*1、2020*2、2021*3、2022*4ときて4年連続5回目の参加だそうで。こう並べてみるとなかなか感慨深いものですね。
ネタを練る余裕もなければ文章として出力する時間もない、ということで今年こそ参加は見送る予定だったんですが。企画のスタートに伴い日々投稿される記事を触媒としてこの一年間ぼんやりと浮かんでいたネタが徐々に形を成してきてしまい、いつの間にやらその気にさせられておりました。やはりお祭り気分というのは人を行動的にさせるものなんですかね。
はじめに
毎度のことながら、また今年もゆゆ式でなにかでっちあげられないかな……というところからことは始まるわけですが。今回参加にあたり3年前のときのタイトルからネタを引っ張りつつ膨らませてゆく過程において辿った思考の道筋が、そのものそのまま作中で描かれる活動と並立し得るものとなっていたので。ここはひとつ、思考の発露にかまけてゆゆ式的情報処理部活動のデモンストレーションを試みようかと思います*6。なんじゃそりゃ。
てなわけで以下、つれづれなるままに*7。
はてさて、どんなまとめが導き出されることやら。
その1:題目の提起
さて。先に挙げた過去の記事におけるタイトル付与時の試みとは、『ゆゆ式』という作品タイトルを変換して得られたアルファベットによる文字列『YYSK』を別の何かに変換する、という内容でした。今回起点とする同様の要領で行われるある変換、それはこういった行為においてはおそらく容易な連想と言って差し支えない「元素記号による置き換え」です。ありませんかね、そういうこと。
とはいえ今回もまたYYSKつまりYUYUSHIKIという文字列に着目するのでは、どうにも変化に乏しく芸がない *8 ので。今回は主要メンバーたる情報処理部の3人に着目して解読していきましょう。すなわち、ゆずこ=Yuzuko Nonohara、縁=Yukari Hinata、唯=Yui Ichii が読み解くべきコードにあたるというわけですね*9。
というわけで以下、適宜区切ってみますと。
- Y U [Z] U K O / N O N O H Ar [A] (or N O N O H [A] Ra)
- Y U K Ar I / H I Na Ta
- Y U I / I C H I I
というところになります。
もちろんこれでめでたしめでたし、というのもひとつの試みなのですが。
今回は寧ろここから
- 「行為の結果」そのものを解釈する
- 「行為の結果」により題目を拡張する
という2パターンのルートが提示できるように思われます。
より情報処理部的な活動となるのは2のようにもみえますが、仮にその1にて掲げた操作が題目になり得ると仮定するのなら *10 、テーマそのものが累加される2よりもテーマが順接で繋がっていく1のほうがより描かれる活動形態として一般的に確認できるプロセスなのかな……と感じるようなそうでもないような。どちらかといえば会話パートのほうで2のパターンが散見されるように思えますが、しっかり類別していないので大きなことは言えないところです。
と、ここまできたので。次のステップへと思考を進めていきましょう。
その2:結果の解釈
さて、まずは今回の結果から何を読み取れるかを考えましょう。ここは活動において得られた結果から3人が自由に話題を広げるパートですね。まずは結果をある要素で類別してみると、これが面白いことに三者三葉三様となっています。
- ゆずこ: 元素記号による置換を完結できない=コードにそぐわない
- 縁: 1文字元素と2文字元素の混合によって置換できる
- 唯: 1文字元素のみで置換できる
これ自体はどうということのないただの結果ですね。しかしたとえばここから「ゆずこの型にはまらないところ」「唯のきっちりしてるところ」なんて読み下し方をしてしまうと、その付与された印象によりたちまちこのプロセスが意味のあるもののように思えてきます。
こういったふわっとした類推による論理の飛躍が偶然にもアクロバティックに着地出来てしまった際の妙な収まりのよさ。これが興味深いところでもあり、また同時に「一理ある/一目置ける/固執するに足る のでは?」と判断してしまいかねない恐ろしさをはらんでいるわけですね。本節は徹頭徹尾そういった話に終始します。
次に出てくる元素に着目してみれば。目につくのは ①ゆゆ式たる所以の Y および U に ②ゆずこと縁の Ar そして ③唯にやたらと頻出する I 、といったところ*11。ここでは③に着目して、より強引に話を進めてみると。I といえばヨウ素、ヨウ素といえば紫色を呈しがち、紫……ゆかり……縁。なるほど唯の構成要素として縁がかなりの割合を占めているというというのも頷ける話、というような。
縁本人にも I がありますね。これはいっそ概念のほうの I、つまり愛と読み替えてしまってもいいのかもしれない、とか。そのわりにゆずこには I が現れない、まさか「唯と縁 とゆずこ」の暗喩とでも、とか。……って、そこを持ち出すならオチまでもってかなきゃ話が違うでしょうに。いやはや、些か無茶ですね。
他方②に着目してみれば、Ar の語源はギリシャ語で「なまけもの」*12。かといってゆずこと縁が唯に比して Ar、すなわち「なまけもの」か?と問われると、これはちょっと首を傾げざるを得ないような。なんだかんだ3人とも「怠惰」というところからはわりと遠いところにいるような気がしませんか。それこそ「ノーイベント・グッドライフ」の何たるかですよ、とね。
所詮こじつけなのだから説得力があるはずもない、という前提なんですが。内容云々というより、このようなかたちで広げていく思考あるいは会話の流れというものが疑似体験できますね、という話でしょうか。いや、唯が縁にあふれてるというのは非常にいい話ではあるんですけれども。
ではここから次の話。
その3:題目の拡張
ここまでは得られた結果の解釈でした。ここからはこれを拡張してみます。着目するのは「ゆずこについてはプロセスが完結しなかった」という点。すなわち、どうあればプロセスが完結し得るのか?ということに着目するわけです。当然、先ほどまでの妄言はいったん脇に置いておいて。まずは再掲。
- Y U [Z] U K O / N O N O H Ar [A] (or N O N O H [A] Ra)
問題になるのは[Z]および[A]の部分ですね。
結論から言ってしまえば、この後に記述する内容をもってしてもゆずこのプロセスは完結できません。しかし、これを検討するうえで沢山の情報が拾われていきます。ここで何をしようとするか、一言で換言するならば「別表記の探索」となるわけです。すなわちこの検討のためには結果的に元素記号、より一般的に言えば周期表への着目が必要となります。
先ほども言及したようにこのようなテーマの累加あるいは転換に至る流れはどちらかといえば会話パートのそれと対置されるものですが、ひとまず以上の思考に則る形で話題を元素あるいは周期表といったところに広げていきましょう。
既に知っている人には釈迦に説法ですが、Aのつく元素は全部で8種類あります*13。あるいはそのいずれかが、過去「A」一文字で表記されていたとしたら?という可能性を探るべくネットの海を漂っていたところ、それがかつて実在していたという情報にぶちあたってしまうわけです*14。
nagomatsup.com
最も簡単にあたれる日本語のページだとこちらでしょうか。 読んでみればすぐわかるとおり、よりにもよって今回の置換の際に登場した Ar が過去 A 一文字元素の座を占めていたというのです。これは驚き。
当該ページ内の情報でも十分確証を得られるように見受けられますが、せっかくこういった符号があったというのにさらに調べてみなくては情報処理部活動の名が廃る、という話。当然興味は Ar すなわちアルゴン、さらには元素の表記法そのものへと移ろうわけです。
残念ながら現在私には書籍にあたれるような手段が乏しいこともあり。ここはやはり一次文献をさらえる範囲でさらってみましょうか。
拡張その1
全部ひとまとめにはいかないので、まずは周期表のほうから紐解いてきましょう。ネットの海から拾うはIUPACことInternational Union of Pure and Applied Chemistry、すなわち国際純正応用化学連合の過去情報となります。
このIUPAC、「アイユーパック」という呼称の通りがよいようですが*15、これって「あおけっきゅー」的なノリに繋がるよなあと思ったり思わなかったり。というのも、たとえば世界最初のコンピューターとして名高い ENIAC = Electronic Numerical Integrator and Computer は「エニアック」ですからね。すなわち「いーにあっく?」「えにあっく」「いうぱっく?」「あいゆーぱっく!」みたいな。
いえ、まあ一方で国際原子力機関 IAEA = International Atomic Energy Agency あたりだと「アイエーイーエー」となりますし。「イアエア」とはなかなか言いませんよねえ……とかなんとか考えてみれば、このあたりは単純に母音と子音の配置が英単語として読み下しやすい型にはまっているか否か、ということに過ぎないのかもしれません。
というか、ENIAC の A って And だったんですね。へええ。
連鎖していく驚きの心地よさに浸りつつ。
あれやこれやと探っていくうち、Ar 以外にも過去と現在で元素記号や元素名の表記が異なるものが散見されること*16がわかってきました。それこそ、偶然とは恐ろしいもので。「ゆゆ式」の根幹たる YU のうち Y にあたるイットリウムも、かつては Yt という表記が一般的だったとのことです*17。現状 Yu なる記号で表記され得る元素は存在しないので、一歩間違えていたら今回の試みは前提から破綻していたというわけですね。
注釈に添えた文献を読まずとも、興味が向くようであれば。2010年にちくま学芸文庫より新装版が刊行されているアイザック・アシモフ *18『化学の歴史』玉虫文一・竹内敬人 訳 を参照すると、各所に挿入された図表における表記にその名残を確認できます。
この本の原著出版は1965年であり、本来であれば Ar も Y も現行表記となっていておかしくないのですが、意外なことに刊行時点での現代における周期表の記載においても Ar が A として記載されている様子を確認できます。一方で Y に関しては史実として記載されている図表類にて Yt の表記複数確認でき、どちらも実際に過去ありふれていたという事実が察せられるものとなっています*19。
因みにこの本、化学史の概観を平易な語り口で取り上げた文献として定評がある一冊です*20。
ここで一つ、情報処理部活動としては書くべきですが細かすぎて読み飛ばしてもらった方が良い内容を。初めに挙げた記事のリンク内で挙げられている文献*21についてのお話。
これは2001年の文献の2004年改訂版とあるのですが。同タイトルで検索すると、同様の内容をリファレンスとして掲げているサイトの多くが2001年 rev. 版なる版を掲載しており。そのなかではなんと Y について
the atomic number is 39 and the chemical symbol is Yt.*22
すなわち、「原子番号39、元素記号 Yt "である" 」と記載されているんですよね。これはもちろん2004年では Y に書き換わっているので、そちらを参照する限りにおいてはさほど問題にはなりません。とはいえ、どうにもむず痒いものが。
なにはなくともとりあえずは初版をあたれないか?と探ってみたところ、ノーステキサス大学 UNT によるリファレンスとして初版*23・rev.版*24ともどうにか辿り着くことができました。確認してみると、なんと初版には原子番号および元素記号に関する記載なしという結果。わからないものですね。
そして極めつけとしてこの文献、2019年の第50回総会の際に発行された更新版のpdfがアメリカ科学技術情報局 OSTI のDBを介してヒットします*25。当たり前と言えば当たり前ですが、こちらは2004年改訂版と同様に現行周期表の記載とそぐうものとなっておりました。2023年の今この文献を参照するならここですね、となりますか。
というわけで。ほんの軽い気持ちで足を踏み入れた筈が、たったひとつの文献を巡ってすらこういったごたごたが絶えないネットの海。ゆらゆらと気を張らずに流れに身を任せつつ、かっちりとした正確さより三者の間で機能する common sense を重視した「まとめ」として落とし込む、という情報処理部の活動姿勢が一周回っていかにうまくできているか、ただ嘆息するほかないですね。限られた掲載スペースに縛られないシステムの妙、流石です。
ここまで周期表について駆け抜けた結果、ゆずこの名字「野々原」は歴史を辿れば成立し得るということが判明しました。
Ar の表記がキーとなっている時点で言うまでもないことですが。新旧表記混在せずより見栄えがすっきりしているのは、 "N O N O H Ar A" ではなく "N O N O H A Ra" のほうですね。でもいっそ前者の方が歴史を実感できるので心地よい表記となっているような気がしないでもないような。
漸く A に区切りがついたところで残念なお知らせですが。Z のほうがどうあがいても置換できないため、本節の冒頭にて述べたとおり「ゆずこは名前から元素記号へと置換するプロセスを完結できない」という結論は変わりません。亜鉛 Zn とジルコニウム Zr だけでは厳しかったですね*26。
さて、もう一踏ん張りしますか。
拡張その2
題目の拡張という謳い文句からえらく遠いところまで来た気がしないでもないですが。せっかくですから置換におけるキーとなった アルゴン Ar のことも調べておかなくては片手落ちと言わざるを得ないでしょう。
といっても Ar そのものに関する情報から辿ってしまえばきりがないので、レイリーやラムゼーによる発見にまつわるもろもろや18族元素全体に関連する性質の話……といったところはこの際省きましょう。ここでは今回の内容に関連して、1950年代の Ar の A 表記に関する一次文献を漁った際に見えてきた情報を書き連ねていこうと思います。というのも、ちょうどこの時代というのは Ar という元素が一躍脚光を浴びた時代と言っても過言ではないためです。
非活性を語源とする Ar が重宝されるに至った分野、それは地球科学でした。それも地質学を専門とする方であればあるいは既にピンと来ているのでは、という程度にはよく知られた用途です。
その鍵を握るのは周期表で Ar の一つ後ろに位置する K、すなわちカリウム。付け焼き刃の知識ということもあり、噛み砕いて書き下す自信もないので本文中に詳述することは避けますが。岩石を利用した年代測定手法として K-Ar 法 なる手法が現在も有用なものの一つとして挙げられています*27。
この手法に結び付けられる発見が成されたのが1948年、そこから数年を経て1955年頃には測定手法として実用化するに至る道が開かれています。
というわけで、先に述べた表記の変遷と重なる時期に脚光を浴びていた K および Ar ですが。K-Ar。この並び、何か見覚えはありませんでしょうか。
そう、Y U K Ar I ですね。
そんなまさか。
まとめ
てなわけで。なんと、今回の試みにおけるまとめは
型は破るもの
YU Z UKO
NONOH Ar=A さん
偉大なるかな
YU K-Ar I
HINaTa さん
縁さん思いの
YU I
I CH I I さん
と、こういうことになるわけです。
何言ってんでしょうか。
……はて?
YUI ICHII さん
Y U I I C H I I
なんとまあ。
縁さんおるやん。
おあとがよろしいようで。
おわりに
あとはまあ、流れで結語代わりの感想を少々。 ZnとSと聞いて即あいうえお揃い踏みですね(意訳)、とゆゆ式力やや高な返しを生めたのはac周りにおけるチューンの為せる業か
正直なところ、これだけああだこうだと書いておきながらも。ゆゆ式のなかで「元素」をテーマに据えるとすれば、もっと感覚的な内容がいくつも頭に浮かんできます。ただそれはそれで、こういった場においてサクッと消費してしまうのが可能性の芽を摘み取ることにもなりかねないので。ひとつ頭の中に留めておこうかなと思っている所存です。流石にこの内容なら事故らんでしょ……と、そういうことですね。あまりにあまりといえばそれまで。
あくまで今回の範囲の中からもっと下らない好きネタを拾ってくるとしたら。縁に入ってる Ta なんてなかなか良い味出してますよね。タンタル日向。リズム~、ってね。
あだしごとはさておき。
ある意味ここにきてついに今回の主題が顔をのぞかせるわけですが。初めに掲げたプロセスとしての情報処理部活動解剖の試みはなかなか楽しいものがありました。今回つらつらと書き連ねたあれやこれやは、とどのつまり順接と累加、あるいは逆説、対置、比較、その他もろもろ……といったプロセスが3人それぞれに付随する異なる回路を縦横無尽に行き交って成立するわけです。この一連のプロセスが放課後という長いようで短い時間にサッと流れていく鮮やかさ、そりゃ楽しいだろうなあと思うこと一入。
そしてなにより。同一の時間軸において3人それぞれについて独立して進行する様子を、多くの場合コンテクストの接続が可能な範囲で省略された出力情報、すなわち意図的に断片化された会話として描写することにより冗長にならず進行する思考のフローは、そもそも三上先生その人の切るネームによって全て汲み上げられているということ。これが驚異的なんですよね。
どうやったら月1のペースで毎度異なる題目をそれぞれこのプロセスに落とし込めるんでしょうか。1回でも大変な労力いうほかないところ、やはりとんでもないですね。
と、ひとしきり振り返り終えたところで。ひとまず今回はこのへんでお暇いたしましょう。もちろん「ゆゆ式 Advent Calendar 2023」は明日以降もまだまだ続きます。日々を彩る楽しみですね。
ありがとうございました~♪
P. S.
最新巻から1コマのみ選ぶなら、やっぱり [13-073-8] なのかな、とかなんとか。思わず読んでいるこちら側からもおお……という呟きが漏れ出てくるなど。どうでしょうね?
あとはまあ、蛇足ながらぺたりと。
……まさかほんとにまる1年前からこのノリ引きずってたとは。
*1:ゆゆ式 Advent Calendar 2018 16日目:ゆゆ式と常識
*2:ゆゆ式 Advent Calendar 2020 19日目:DDED、あるいはゆゆ式と音楽
*3:ゆゆ式 Advent Calendar 2021 25日目:ゆゆカルミステリーツアー
*4:ゆゆ式 Advent Calendar 2022 16日目:ゆゆ四肢・脚編
*5:数こそ前回ほどでないものの、今回も yuyusearch 準拠ということで。
*6:あくまで「部」活動であり、真っ向勝負で情報処理そのものへと取り組むわけではないのであしからず。
*7:あいかわらずといいますか、タイトルのオマージュは型の拝借というだけで内容には何ら関わりありません。それと引用の体裁がまたしても雑の極みです。ごめんて。あとネタが古いとか言わないで
*8:後述する唯のそれ同様、これまたきれいに全文字が置換できるわけですけれども。
*9:ローマ字表記の揺れについてはキャラクターソング「にげんめ」、「さんげんめ」および「よんげんめ」のジャケットから判断できるものを確定情報として参照しています。
*10:コードの解読=行為は単語でもないので通常そのままテーマになり得るとは考えにくいですが、あくまでプロセスの説明として。
*11:言うまでもない話ですが、ローマ字でこれを行う以上母音からの呪縛は逃れ得ないという前提があります。
*12:18族元素が18族元素たる所以、すなわち相対的な「非活性」というところからきている命名ですね。なお、18族元素全体の包括的な呼び名に関するあれこれはたびたびその解釈について議論がなされており、調べてみるとなかなか興味深いところ。それこそ inert かと思えば rare だったり noble だったり。
*13:アクチニウム Ac、銀 Ag、アルミニウム Al、アメリシウム Am、アルゴン Ar、ヒ素 As、アスタチン At そして金 Au。よく見かけるものも多いですね。
*14:どう辿り着いたかさっぱり覚えていないのですが、おそらく【元素記号 A 一文字】とかそんなところで検索した結果かと思われます。スタートから過程があやふやでどうするの、という。無念。
*15:「アイユーピーエーシー」と読み下す機会はなかなかないかと。なお「アイウパック」「イウパック」文化圏だったという方もある程度確認できるようで。
*16: History of the recommended atomic-weight values from 1882 to 1997: A comparison of differences from current values to the estimated uncertainties of earlier values (Technical Report)
*17:イットリウムときたら本来触れるべくは、やはり希土類元素の聖地とでも言うべきスウェーデンはイッテルビー村なわけですが。これまた触れ始めると長くなりますからね。元素への興味をそそられた方におかれましては、総覧としては奇しくも今年改訂と相成った桜井弘『元素118の新知識〈第2版〉』あたり、もう少し物語性の感じられるところを掘るなら雑誌 Nature が2019年に周期表誕生から150年を記念して過去アーカイブを集成した企画『The International Year of the Periodic Table』あたりを参照してみると楽しいかもしれませんね。
*18:アイザック・アシモフ。生化学の教授としての顔もさることながら、やはりまず第一に挙げられるべきは偉大なるSF作家としての顔でしょう。誰が呼んだか世界三大SF作家が一人。今となっては絶版の山ですが、せめて『夜来たる』あたりは復刊されてくれないものでしょうかね……と思ったら、そういえば。数年前に版元が、原著二分冊としての姉妹篇である『サリーはわが恋人』ともども電子書籍としては復刊させてたんでした。そこまでいっても物理媒体のほうは音沙汰なし、というあたり扱いがどうにもアレといいますか。ううむ。
*19:今回取り上げたこの「元素記号の表記揺れ」という話、日本語の論文をあたってみてももうさっぱり判別がつかないという事態に陥ってしまいました。いちいち並べるのは差し控えますが、1919年の文献で Ar という表記があったり、1964年~1966年の3年間で6回にわたり段階的に掲載された報告において、その第1-5報では旧来の A 表記で通されていたはずの通しタイトルが第6報へと至るにつけ突如 Ar へと書き換わっていたり。こうなってくると気になるのは、こと日本においてIUPAC準拠の標準化が成されたと言えるのはいつのことからなのか?とかそういった流れですね。これは行き着くところまで行き着いてしまったな……という感もあり、風呂敷を広げすぎるわけにもいかず道半ばで膝を屈する結果に。やんぬるかな。
*20:新装版刊行の2010年に出たこの類の本というと、共訳者の片割れであるところの竹内敬人『人物で語る化学入門』の存在も思い出されますね。刊行当時に読んだため詳細は記憶の彼方とはいうものの、この系統の本として大変読みやすかった覚えがあります。
*21: History of the Origin of the Chemical Elements and Their Discoverers (2004年改訂版)
*22:修飾表現は引用にあたり必要に応じて付与しています。
*23: History of the Origin of the Chemical Elements and Their Discoverers (初版)
*24: History of the Origin of the Chemical Elements and Their Discoverers (2001年rev.版)
*25: History of the Origin of the Chemical Elements and Their Discoverers (2019年更新版)
*26:参考程度の補足ですが、無理矢理ゆずこの ず を Du と解釈しても結論は変わりません。そんなものです。
*27:K の同位体における半減期の長さを利用して、岩石に含まれる K 同位体の量とその一部が崩壊することにより生成する Ar 同位体の量の比から年代を見積もるものです。これは流石に詳しく書いていたら注釈の枠には収まらなくなるのでこの程度で控えます。